これは、日本語と手話は違う言語であり、日本語と英語で文法が違うように 日本語と手話でも文法などが違うためで、 手話の文法にあわせて表現する「日本手話」、 日本語の文法に合わせて表現する「日本語対応手話」があります。
「日本語対応手話」は、日本語の語順に1対1に対応しているのに対し、 「日本手話」は必ずしも語順と対応しているわけではなく、 どちらかと言えばその意味をとらえて表現します。 従って、「日本手話」のほうが視覚言語本来の表現力を備えています。
例えば、「いつ英国から帰る?」 と表現する時、 日本語対応手話では、「いつ」「英国」「帰る」「質問」となりますが、 日本手話では、「英国」「そこ」「帰る」「いつ(顔の表情で疑問形を表す)」 のようになります。
また、「梅雨入り」と表現する時、 日本語対応手話では、「梅」「雨」「入る」となりますが、 日本手話では、「梅」「雨」「始まる(開く)」のようになります。 日本手話は、「梅雨明け」のようにも見えますが、 その意味を捉え「始まる(開く)」と表現します。 日本手話で、「梅雨明け」は「梅雨」「終る」となります。
<参考文献>
「はじめての手話」(日本文芸社、木村晴美・市田泰弘著)